津村会長

 日高新報社の津村尚志(たかし)代表取締役会長が29日午後5時18分、肺炎のため、入院先の岸和田徳洲会病院(岸和田市)で死去した。82歳だった。

 津村氏は1941年10月29日、御坊市湯川町財部に生まれ、日高高校、慶應義塾大学を卒業後、65年に野村証券に入社。68年にジャーナリズム界に転身し、日本ソノ出版、徳間書店、日本エコノミストセンターに勤めたあと帰郷、1972年2月に日高新報に入社し、記者、編集長を経て、鈴木道弘社長死去後、89年に第5代社長に就任した。社是の「公平無私」に「一筆同心」を加え、地域の水先案内人としての務めを徹底する一方、読者や地元の活性化のために尽力した。

 90年に新工場を竣工させ、91年から高速輪転機が始動。同年、社屋の建て替え完了をはじめ、設備投資で生産性向上に力を入れ、カラー印刷、編集・組版システムのフルデジタル化を導入した。2003年には創刊75周年を記念して読者還元事業「楽喜健」を開始。会社と地域の発展に尽くしたほか、日高地方女子ソフトボール大会を続けながら、チャリティーゴルフ大会の開催、日高新報杯少年サッカー、ジュニアバレーの両大会を協賛し、スポーツ振興に寄与した。

 御坊商工会議所では1991年から現在まで常任参与、設立時のメンバーでもある御坊中央ライオンズクラブでは94年に会長を務め、日高高校同窓会では会長を経て現顧問。2011年に地域貢献事業で宮子姫顕彰会を立ち上げ、14年には宮子姫の里をつくる会を設立、会長を務めた。

 通夜は1日午後7時から、告別式は2日午前11時から、いずれも美浜町田井272―1、メモリアルウエストで。自宅は御坊市湯川町財部614。喪主は長男亮(りょう)氏。日高新報社代表取締役社長の周氏は次男。