年明け早々に日本列島を震撼させた石川県能登半島地震は11日現在、213人の死亡が確認され、依然37人の安否不明が続いている。そんな中、昨年12月24日に初当選したばかりの稲岡健太郎志賀町町長がテレビ中継に応じ、被災状況を話していた。断水で水不足となり、衛生面の問題も起きており、特に深刻なのは救助の人員不足。稲岡町長の自宅もほぼ全壊、職員も被害を受けた中で業務に当たっており、地震発生から10日以上が経過、疲労が蓄積している。全国の自治体から支援の動きが出て保健師や水道局職員、消防隊員らが派遣されているが、現在、避難所での感染症が少しずつ拡大しており、医療スタッフや介護職など専門職の支援が求められていた。

 一方で、一般のボランティアの受け入れは保留している。余震が続き、ライフラインが復旧していない中、二次災害につながる恐れがあるというのが理由。支援物資に関しても全国から届いているが、物的支援を受けると、それをさばくために人員がまた必要になる。稲岡町長は多くの支援に感謝しながらも「大変申し上げにくいのですが、いま一番、今後の復旧に必要と思われるのは資金面。義援金の支援としていただくのが一番ありがたい」と話していたのが印象的。まさに行政を預かるトップの本音だと思う。日高地方からは紀州梅の里救助隊が6日から8日まで現地を訪問し、まず被災者のニーズ把握に努めたのはさすがの対応。「被災者を何とか支援したい」という気持ちは同じだが、むやみやたらな支援は余計に被災地の迷惑になりかねない。いま何が必要で何ができるのか、しっかりと被災者の気持ちに寄り添うことが大切だ。(吉)