由良町は地域の人手不足解消と移住者の増加などを目的に、繁忙期が異なる仕事を組み合わせて働き手を派遣する「特定地域づくり事業協同組合」の設立を目指している。国が2020年に制定した制度で、設立すれば県内では初。11日に役場で町内の事業者向けの説明会を開き、設立に向けた取り組みをスタートさせる。

 制度は繁忙期に人手が足りない地元農家や事業者と、地方に住みたいが安定した雇用に不安がある移住者とをマッチさせる取り組みで、組合加盟の複数の事業者が、移住者に対し季節や時間に応じた仕事を1年を通じて提供。仕事の組み合わせ例としては、農作業の収穫期には農業、飲食店や旅館の繁忙期にはそれぞれの仕事をしたり、午前と午後で別の職場で働いたりすることなどがある。

 由良町でもミカンなどの収穫期の人手不足などの課題があり、人口減少対策へ移住推進事業を進めていることから導入への取り組みを始めた。実施するには事業者らで組織し、移住者の募集や仕事の手配などを行う組合が必要で、11日の説明会では町内の農家や事業者らを対象に呼びかけ、組合について説明するとともに、設立に必要な4事業者以上を募る。準備期間は1年以上かかるとみられ、設立後は町が直接関わらず組合で運営していく。事務局の運営費や移住者の人件費の一部について国や町から補助が出る。

 制度は人口の急減に直面している地域などが対象で、全国では100近くの組合が設立しているが、県内ではまだつくられていない。町は「繁忙期の農作業の人材を確保するとともに、移住者には空き家利用や各補助などの町の制度を活用してもらい、定住してもらえるようにしたい」と話している。
 11日の説明会への参加申し込みなど詳しくは産業振興課℡0738-65-3850へ。