表彰状を受けた松村さん父子

 荒波に流されたサーファー(京都の47歳男性)を助けたとして、田辺海上保安部は22日、紀州日高漁協組合長の松村德夫さん(72)=御坊市塩屋町南塩屋=と、長男で同組合員の松村崇夫さん(46)=同=に、第五管区海上保安本部長人命救助功労表彰を伝達した。2人は台風接近で大きなうねりの中、漁船を出して捜索、見つけ出して無事助け上げた。

 同保安部によると、今年6月12日午前8時55分ごろ、御坊市名田町野島地内、祓井戸漁港沖で「サーフィンをしていた仲間が流された」との通報を受けた。すぐに県水難救済会紀南西部救難所の同漁協に協力を要請。台風が接近しており海は大荒れで、船を出せる状態ではないためいったんは断ったが、ちょうど漁協を訪れた松村組合長が長男の崇夫さんに連絡し、2人で出船を決断。うねりに加え、数日前の大雨で海には大量の流木があったが、慎重に操舵し、流されたサーファーの仲間に連絡して方向を確認した。予想地点に船を向かわせると、霧で視界の悪い中、流木の中でサーフボードにつかまっている男性を発見。漁船に引き上げ、無事、漁港まで戻った。男性にけがはなかった。

 伝達式は同漁協で行われ、田辺海上保安部の杉山陽二郎部長が2人に表彰状等を手渡し、「田辺からでは現場まで時間がかかる。2人がすぐに出港して、長年の勘ですぐに見つけてくれたおかげでけがなく救助でき、感謝しています」とねぎらった。2人は「大きな波の外側まで出て来ていたので助けることができた。とにかく無事で何より」と話した。