今年は5月に新型コロナが5類に分類され、夏も秋も冬も例年のイベントが復活。御坊市民文化会館友の会の12月恒例行事「クリスマス大合唱の夕べ」でも、4年ぶりに一般参加の合同合唱が復活した◆音楽は好きで、どんなジャンルでも生演奏を聴くのは楽しい。巧拙など専門的なことは分からないが、それぞれの歌声には意気込みが感じられ、創り上げられる音楽の世界が心に染み入るように楽しめた。沖縄の言葉で歌われる素朴なメロディー、心動かされながら見ていた朝ドラ「らんまん」のテーマ、子どもたちのすがすがしい合唱組曲等々。「恋におちて」「天城越え」など情感たっぷりの女心をうたったメドレー「歌姫伝説情念編」は選曲とネーミングの面白さもあり、ドラマチックなピアノ伴奏と相まって楽しめた。唯一の男声合唱団による「宇宙戦艦ヤマト」も、イスカンダルのスターシャのようなソプラノを迎えてのオリジナリティあふれる演奏がよかった。すべてを紹介しきれないのが残念だ。最後に、全団体有志と一般参加者による4年ぶりの合同合唱。クリスマス前にふさわしく「もろびとこぞりて」等3曲の讃美歌が、パワフルな歌声で聴く人の心に届いた◆だが、続く主催者からのあいさつでは、コロナ禍の3年余りの期間中は多くの合唱団が活動停止を余儀なくされ、活動を再開したものの人数は激減していることが伝えられた。何事もなかったかのように再開されているようで、やはりそれぞれの分野でコロナは影を落としていると知った◆そんな影を振り払うように、子どもたちも加わってのフィナーレ「きよしこの夜」では客席からも大きな歌声が上がり、ホールに響きわたった。人の声は最も心を打つ楽器の一つであるとあらためて思った。(里)