県は20日、県業務への生成AIの利用ガイドラインを発表した。安全な環境下で適切に使用すれば業務効率化に大きく寄与するとし、入力情報をAIの学習に利用されないよう、安全性が確保された契約サービスの使用に限定することなどを定めている。

 県のガイドラインでは、チャットGPTなど規約への同意のみで不特定多数に提供されるサービスは使用しないとし、県情報公開条例で「非開示情報」としている個人情報や審議・検討中の情報などは入力禁止。画像生成については、著作権侵害などの懸念があるため当面は利用せず、文書作成のみとした。

 生成物を利用する際は、生成AIで作成したことが分かるようにし、内容の正確性や妥当性を複数人で確認するほか、著作権などの侵害に注意し、生成物はそのまま利用せず、加筆修正を行うことなどを定めた。

 ガイドラインの策定にあたり、8~11月にかけて行政企画局と観光交流課、秘書課など7課で実証試験を実施。パソコンの操作法やコードの作成、文章案の作成など40件の業務に利用したところ、利用により仕事の効率が上がると思うとの回答が92・5%、今後も業務に活用しようと思うとの回答が95%に上り、70%が8割以上の業務時間の削減が見込めると答えた。

 一方で、利用上の課題や問題点(複数回答)では、「よい回答を引き出す命令文(プロンプト)の作成方法が分からない」が14件で最も多く、「求めている情報が出てこない」が9件、「回答内容に誤りが多い」が7件などだった。

 岸本知事は「現状のガイドラインに基づいて、職員にはいろいろトライしてもらいたい。使い勝手のよい業務、悪い業務があるだろうから、取りまとめながらある程度の集積ができたらまたガイドラインに入れていきたい」と述べた。