由良町と広川町を結ぶ水越峠の国道42号改良について、国土交通省が2019年度から進めている調査が、近く新たな段階に進むことになった。2015年8月に発足した由良と広川町の官民が一体となった国道42号由良町畑広川町井関間改良促進協議会の継続的な要望活動が実を結んだ形で、今後の事業化が望まれる。

 協議会では「水越峠改良は由良町民の悲願」としているが、由良町民の筆者にとっても確かにその通りに思う。筆者はよく休日に和歌山市内方面に出かけるが、家から和歌山ICまでは車で40分のうち広川ICまでが20分と半分を占める。由良町は日高地方の中では最も北に位置し、和歌山市内や大阪方面に出かける分には利便性が高そうに感じるが、実際は水越峠で時間がかかるため御坊や印南のIC近くから出発するのとそう変わらなくなる場合がある。また6月の大雨時には通行できなくなり、和歌山市方面から由良町に入るには広川から日高町の内原に抜ける県道を通り、志賀の海沿いや山間部を通る必要があり、由良町はほぼ陸の孤島状態となった。大雨は一時的なもので済んだが、大災害で支援物資等が数日、届かなくなるなどの状況になれば深刻だ。

 水越峠はまだ調査段階で今後どうなっていくかはわからないが、トンネルなどができ直線で行けるようになればかなり利便性が向上するだろう。高速道路との時間距離が縮まれば住環境が向上し、移住者増加や流出の軽減、企業の進出、交通量が増えることで観光面でも効果が見込める。事業化に向けた調査が新たな段階に入ったとはいえまだまだこれからだが、引き続き促進協議会の活動に期待したい。(城)