年末年始の行事として定着している年賀状。しかし、発行枚数は年々減少し、今年(2024年用)は14億4000万枚。ピークだった2003年の44億5936万枚から3分の1に減った。減少の要因はメールやライン、SNSの普及が大きく、若者の年賀状離れが目立っている。

 年賀状の歴史は平安時代まで遡る。江戸時代に入ると、今の郵便の先駆けとなる飛脚が充実し、庶民が手紙であいさつを済ませることも増えた。現在のようなスタイルになったのは1873年に登場した官製はがきがきっかけで、1949年にはお年玉付き年賀はがきとなった。

 40年ほど前の小中学生だった頃は冬休みに入った頃から年賀はがきの制作を始め、手書きであいさつ文を書き、挿し絵も色鉛筆などを使って仕上げた。それが楽しかったが、年齢を重ねると、年賀状は生存確認の意味合いも強くなる。普段から顔を合わせることのない友人や知人からはがきが届くと、「元気で暮らしているのだろう」と一安心する。逆に毎年届いていた人から急に年賀はがきが来なくなると、「どうかしたのか」「何かあったのでは」と不安に気持ちにさせられる。いつも顔を合わせる会社の同僚らはともかく、年賀状を相手に送ることは元気で暮らしていることを相手に伝える手段の1つ。それは相手への思いやりにつながるのかもしれない。

 きょう15日から年賀状を投函すると来年の1月1日に配達される特別扱いがスタートする。時代の流れで、年賀状以上に便利なツールが増えたが、年賀状は正月にポストを開ける時のわくわく感がある。失われたくない日本の伝統文化の1つである。(雄)