先日、ひきこもり回復支援を行う美浜町のNPO法人ヴィダ・リブレの研修会を取材した。一日数分の筋力トレーニングが、うつ病の予防や改善の効果をもたらし、自己肯定感の向上にもつながるといった内容。筋トレをすると脳内からさまざまなホルモンが分泌され、幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンやドーパミン、気分が冴えるエンドルフィンなどが体や脳に良い効果をもたらすという。筋トレは当事者のみならず、あらゆる人にも実践できる習慣だなと思わされた。

 学生時代は運動部に所属していたのだが、毎日の日課として筋トレをしていたことを思い出す。毎日腹筋・背筋80回、腕立て伏せ50回。やるまでは「あー、やらないとあかんのか」と乗り気じゃなくても、筋トレ中は集中して、もっともっとと夢中になっていた。終わった後はすがすがしい気分になり、充実感に満ち溢れていたように思う。ホルモンのおかげだったのか。今ではすっかり運動不足で、腹筋も10回続けられるかも不安。しかし、年を重ねていく中で自分の持久力が落ちてきた。やはり日々のトレーニングはやっておくべきだったとひしひしと感じる。

 研修会では、元当事者の2人が筋トレを通して感じたことや変わったことについて話した。自身が抱えていたコンプレックスの解消や、1人は精神障害者部門の卓球選手として国体に出場し、銀メダルを獲得したというエピソードも話してくれた。きっかけは小さくても、継続していればひょんなことから人生は変わるんだなと気づかされた。

 筋トレは自分の身ひとつでできる運動で、自分の意志さえあればすぐにできる。重たい意志を開放し、自分を変えるきっかけになる。私も明日から始めよう。(鞘)