「泣いて笑って、歌って踊って、こんな楽しい時間はなかった。死ぬときに思い出すんやろな」。同級生の友人のLINEは、サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブの興奮に満ちていた。ダメ元で申し込んだチケットが奇跡的に当たったらしい。
湘南の海が有名な茅ヶ崎は桑田佳祐の地元で、多くの曲の歌詞に登場するこの地はファンにとって聖地であり、そこで10年ぶりの野外ライブとあれば一緒に行きたいところだったが、茅ヶ崎はさすがに遠すぎた。
プラチナチケットを手に入れた友人はなんと1人で茅ヶ崎に乗り込み、ライブの前には鎌倉周辺を巡礼、サザンの曲でおなじみの江の島を見て感激。五十の坂を越えての気力と体力に呆れる半面、ちょっとうらやましかった。
ライブといえばつい先日、山崎まさよしが2000人規模のホールで8曲しかうたわず、一部の客が途中で帰ってしまい、主催者がチケット代を払い戻す騒ぎとなった。理由や経緯は明らかになっておらず、芸能ニュースでしつこく繰り返されている。
まさやんはかつて、毎年のようにライブに出かけ、今回同様、バンドを伴わないワンマンライブも何度も見てきた。MCはたしかにいつもとりとめのない話だが、それはどのアーティストも同じで、長すぎると感じたり、曲が極端に少なかったことは一度もない。
ファンの1人として、「らしい」といえばらしく、「意外」といえば意外な感じもする今回の騒ぎ。茅ヶ崎1人参戦の友人ではないが、ファンにとって演者と同じ時間と空間を過ごすライブは本当に夢のような瞬間であり、8曲というのはやはり少なすぎるのでは。(静)