高級時計ブランド、グランドセイコーは東京渋谷、神宮前のアートギャラリー「Stand By(スタンドバイ)」内に、11月5日までの期間限定で「果実と花の和菓子屋 とき」を開店。扱う和菓子のうち2品「マスカットの草露錦玉」「金木犀とウーロン茶の琥珀羹(こはくかん)」を、御坊市薗の老舗和菓子店「郷土銘菓処 ふく田」の福田啓希さん(37)が担当している。毎日各80個を製造して届けているが、連日完売の人気となっている。
「和菓子屋 とき」は同社が昨年から行っている取り組みで、今回は朝・昼・夕・夜の4つの「とき」を題材にした和菓子を開発。銀座のイタリアンレストラン「FARO」のシェフパティシエ加藤峰子さんから、大正3年(1914年)創業の100年以上の歴史を持つ老舗であるふく田に今回の話が来た。加藤さんとともに、コンセプトに合った食材と調理法など考え、2品を完成させた。
「マスカットの草露錦玉」は、秋の朝のさわやかさを表現。アーモンド風味の餅の中にマスカットの実と白あんが入り、日本ハッカ、レモングラス、ライムの香りをたたえる。「金木犀と烏龍茶の琥珀羹」は秋の真夜中、月に照らされたキンモクセイを表現。ビーツの赤で色をつけた寒天菓子で、キンモクセイの花を入れ、金箔で飾っている。
福田さんは店主・正芳さんの長男で4代目になる。19歳から6年間、大阪で修業を積んで帰郷。同店の菓子職人を務める。「小学生の時から小原流の華道を学んでおり、今回の仕事にその感覚が生かせたように思います。和菓子は本来、お茶とともに味わうもので、あまり強い香りのものは使われないのですが、今回、新しい可能性を見たように思います」と話している。