ガザ地区を支配するイスラム主義組織ハマスとイスラエルの衝突は、双方の死者数は2000人を超えたという。その凄まじさはテロや紛争ではなく、もはや「戦争」としか言い表せない。

 同国のネタニヤフ首相は野党の前国防大臣との共同声明で、戦時の挙国一致政権を樹立することを発表。現国防大臣は「ハマスをこの地球上から消し去る」と語り、米国の軍事支援を取り付け、地上戦の準備を進めている。

 当初は「またか」と小競り合い程度に終わると思ったが、短時間に5000発ものロケット弾を撃ち込み、武装兵が大量に境界を越え、100人以上の市民を連れ去るというかつてない規模と非道さが伝わるにつれ、一気に緊張が高まった。

 当然、ハマスという一組織の力ではない。イスラエルとそれを支える米国を憎み、さらに米国主導で進みつつあるイスラエルとサウジの国交正常化を阻止したいヒズボラやイランが協力、支援しているとみられている。

 今回の周到な奇襲はイスラエル建国以来最大の被害をもたらし、やられた側のタカ派のリーダーは断固、戦う意思を表明。すでにそれ以上の力で反撃し、近く敵をせん滅する空爆と地上戦に踏み切る考えを示している。

 ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの侵略を受け、他国に支援を求め、自力で敵の攻撃に耐え続けた。支援を表明しながら、戦車や兵器を小出しに洞ヶ峠の西側各国も、1カ月が過ぎてようやく本格的な武器供与を始めた。

 中東で四面楚歌のイスラエル。米国がどう支えるか、ウクライナとのバランスは? 日本人はウクライナやイスラエルのように、攻撃を受け、支援を求める側としてこの危機から学ばねばならない。(静)