「この曲で勇気づけられたっていう言葉をたくさんいただいたりとか、いろんな人の思いが重なって、僕らも想像してなかったくらい大切な楽曲になっていった」。ゆずの代表曲「栄光の架橋」について、作者自身が以前、テレビで話していた。

 NHKのアテネ五輪公式テーマソングに採用されたこの曲は、もがき苦しみながらも自分を信じ、栄光に向かって進む人をうたった名曲。歌詞は「怖い」「逃げ出したい」といったネガティブな言葉があふれるが、その先に栄光(メダル)をつかんだ日本代表の姿に多くの日本人が感動した。

 阪神タイガースが優勝を決めた甲子園の巨人戦。最終回のマウンドを託されたのは当然ながら守護神の岩﨑投手だが、登場曲がいつもと違った。流れていたのは今年7月に他界した横田慎太郎選手の登場曲「栄光の架橋」で、チーム全員のヨコへの思いを込めての選曲だった。

 ベンチでは、岩﨑投手とともに横田選手と同期入団の梅野選手が横田選手のユニホームを握りしめ、優勝の瞬間は真っ先にマウンドへ駆け寄り、岩﨑投手が天国の横田選手に向かって高々と背番号24を突き上げた。

 夢や目標、勝利に向かってくじけそうな夜を乗り越え、それぞれの栄光にたどり着いた人は、自分を支えてくれた人への感謝もあってより大きな感動となる。一方で、故障や病気、その他不測の事態、理不尽な現実によって夢をあきらめざるを得ない人もいる。

 「やりたいことをやれている自分はまだ恵まれている」。1年目に新人王を獲得しながら、レギュラーをつかみきれない高山選手も横田選手と同期。迷わずにバットを振り続ける姿がまぶしい。(静)