15日にみなべ町で開かれた梅剪定枝のバイオ炭化事業に関する勉強会を取材した。今まで多くの梅農家が廃棄するしかなかった剪定後の枝の新たな活用方法について、さまざまな可能性を秘めた講演会で、これからの梅産業の発展に期待が高まった。
〝梅の聖地〟としてもメディアでよく紹介されているみなべ町。6月の収穫期には県外から手伝いに来る若者も増えてきており、「梅ワーケーション」なる言葉も出てきた。講演した同志社大学の大和田順子教授は「梅剪定枝のバイオ炭の取り組みが進めば、梅の収穫だけでなく剪定枝のワーケーションもできるようになる」と期待を寄せる。こうして関係人口がさらに増えれば、新たな町の魅力が発掘され、将来的な移住者の増加にもつながる。バイオ炭は環境に良いだけにとどまらず、まちづくりにも大きな役割を果たすかもしれない。まさに一石二鳥だ。
みなべ町での影響が近隣の町にも波及してくれればさらにいいと思う。みなべ町に梅収穫の手伝いに来た県外の若者と話をしたことがあるが、「みなべ町の周りのまちには何があるかよく分からない」と話していた。ほとんどの人が「みなべに来たからには白浜にも行きたい」と言うが、思わず心の中で「みなべ町は日高地方なんだよー」と叫んでしまった。
同じ地方の町が一体となって互いの産業を盛り上げる体制ができれば、もっともっと可能性は広がる。「みなべの梅の次は印南のスイカかな」「印南に来たら御坊にも行ってみようかな」と観光客が思ってくれるようになると、各地で行っている観光の取り組みも着実に実を結ぶだろう。バイオ炭でここまで発展するかは分からないが、この日の勉強会でそんなことを思ってしまった。(鞘)