先日、美浜町の中央公民館で、戦前の日系カナダ移民による野球チームを題材にした本「バンクーバー朝日軍」の作者、テッド・Y・フルモトさんの講演会が開かれ、町民ら約50人が参加。初めて同町の担当になって半月余り、チームだけでなく移民の歴史についても聞け、とても興味深い話だった。

 日系カナダ人2世でバンクーバー朝日軍の初代エース、テディ・フルモトを父に持つフルモトさん。今から100年以上前、差別を乗り越え、カナダ最強といわれるまでになったチームの活躍を語った。1998年にカナダを訪れた際、父のチームメイトに会い、日本人のほとんどがチームを知らない中、歴史を風化させることなく伝えることが自身の使命と、彼らと本の執筆を約束したことがきっかけ。カナダ移民功労者で「カナダ移民の父」といわれる工野儀兵衛を先頭に海を渡った移民のカナダでの勤勉な暮らしぶり、激しい人種差別をはねのける期待を背負ってチームが作られた経緯を説明した。

 武士道と大和魂、フェアプレーとスポーツマンシップで戦った姿勢を熱弁。相手チームのラフプレーや白人びいきの不公平な審判にも抗わず、正々堂々と勝利していった活躍ぶりを語った。しかし日本軍の真珠湾攻撃、太平洋戦争勃発でチームは解散。ナインを含む日系人の収容所生活を解説した。
 「歴史的活躍と勇気やチャレンジ」と「日本人の心」を伝え、「世界平和」が著書のキーワード。本を手に取り、読んでいるが、朝日軍の歴史と栄光を知り、日本人としての誇りを持って日本をよくしたい、そして、世界を平和にというフルモトさんの願いがもっと多くの人に届けばと思う。(笑)