高校球児の夢はというと阪神甲子園球場で開催される全国大会の出場。その聖地を目指して毎日、厳しい練習を続け、野球に時間を費やす。だが、出場できるのはほんの一握りの選手だけ。大半は地区予選で敗れてしまい、夢を叶えることなく高校を卒業する。そんな球児たちに再び、チャンスを与える大会がマスターズ甲子園。元高校球児たちが世代を超えたOBチームを結成し、憧れの甲子園を目指す。

 今年の県大会では18チームが出場し、日高中津OBが優勝。近畿ブロック大会でも準優勝し、11月に甲子園で開催される本戦の出場権を獲得した。日高中津は1997年に春のセンバツに出場して以来、甲子園から遠ざかっているが、甲子園でプレーすることを諦められない野球好きの20代から50代のOBでチームをつくっている。

 子どもの頃は誰しも「プロ野球選手になりたい」「パイロットになりたい」「歌手になりたい」などという夢を持っていた。しかし、年を重ねて大人になるにつれ、現実とのギャップを感じてしまい、「やっぱり無理」と諦めてしまうことがほとんど。能力が足りずに諦めてしまうことがあるかもしれないが、それ以上に途中で諦めてしまうことの方が多いかもしれない。

 今年の夏の全国野球大会で高知中央の西岡悠慎主将が選手宣誓し、「追いかけ続ける勇気さえあれば夢は必ず叶う」と語った。それだけ夢を持ち続けるのは強い気持ちが必要になるのだろう。夢や希望を叶えるにはそう簡単にはいかない。それをどれだけ強く追い求めることができるかが一番肝心。高校野球だけに限らず、どんな夢や希望にも通じることだ。(雄)