チームの栄光を語るフルモトさん

 美浜町中央公民館で26日、戦前の日系カナダ移民による野球チームを題材にした書籍「バンクーバー朝日軍」の著者、テッド・Y・フルモトさんの講演会が開かれ、町民ら約50人が参加した。フルモトさんは人種差別を乗り越えての活躍やフェアプレーの精神、日米開戦によって解散させられたチームの歴史を紹介。移民にも触れて世界平和を願うメッセージを届けた。

 公民館教養講座。日系カナダ人2世でバンクーバー朝日軍の初代エース、テディ・フルモトを父に持つフルモトさんが、「伝説の日系人野球チーム その歴史と栄光」を演題に語った。


 フルモトさんは、カナダ移民功労者で「カナダ移民の父」と呼ばれる工野儀兵衛の出身地で講演できる喜びをまず語り、移民の歴史や人種差別をはねのける期待を背負って作られたチームについて説明。武士道と大和魂、フェアプレーとスポーツマンシップで戦い、「勇猛果敢に潔く、正々堂々と勝利する」という姿勢で勝利を重ね、不条理な差別に苦しむ日系人を熱狂させた。白人たちにも尊敬されるとともに、数ある白人チームをなぎ倒してリーグ優勝し、カナダ最強の野球チームと呼ばれるようになったとした。


 しかし、日本軍の真珠湾攻撃、太平洋戦争勃発でチームは解散。ナインを含む日系人の収容所生活を説明したうえで、2002年に行われた元選手5人の始球式や03年の朝日軍カナダ野球殿堂入りを語った。1998年に父の元チームメートに会い、「日本で知られず、風化してしまう我々のことを伝えてくれないか」と言われた執筆のきっかけを紹介。「歴史的活躍、勇気やチャレンジ」と「日本人の心」を伝え、「世界平和」を訴えたかったと話し、「この三尾村からカナダに移民が渡った。スティーブストンはカナダで三尾村と言われている。日加が協力して世界の平和を守り、その原点の三尾、美浜町がさらに元気で活躍してほしい」と呼びかけた。