和歌山市の紀三井寺公園野球場で熱戦が展開された第105回全国高校野球選手権記念和歌山大会。本紙エリア7校は3校が初戦を突破し、南部龍神が10年ぶりベスト8、和歌山南陵が2年連続ベスト4と健闘した。そのうち8試合を現地で取材。それぞれ勝っても負けても試合後、監督や選手にインタビューを行った。

 そのうちの一人、南部龍神3年の亀岩寛斗選手は筆者と同じ中学校の卒業生。彼が中3のとき、仕事で訪れた際に「きょうは僕の取材?」と声をかけてくれ、「野球やってるやんな。高校でもするん? 頑張ってよ、取材するから」と返したのを覚えている。それから、南部龍神に進学すると聞き、注目していると、入学早々の春季県予選に出場。長打を放って記録シートに名前が載っていた。

 しかし、1年夏、2年夏と、けがに泣かされ、「今年が勝負の夏」(亀岩君)。全3試合に4番・遊撃で先発フル出場した。3回戦の箕島戦では5回に安打で出塁し、二塁へ進むと、一、二塁から一塁走者が牽制で一二塁間に挟まれる間に、三塁を蹴って一気に本塁へ滑り込んだ。準々決勝の和歌山北戦では凡退すればコールド負けの7回2死一、三塁から左前に落ちる執念の適時打。その前の打席でも適時打を放ち、大量リードを奪われても諦めない姿を見せてくれた。

 打席でも、守備位置でも、ベンチでも、常に大きな声とジェスチャーで仲間を鼓舞。ネクストバッターズサークルからボールパーソンより早く捕手後方へのファウルボールを拾いに走る。3年前の印象と変わらず明るくはつらつと、グラウンドを駆ける姿がまぶしかった。亀岩君だけでなく、全ての選手が悔いなく戦えたことを祈り、その頑張りに拍手を送りたい。(笑)