「日本は資源のない国」。そう小学校時代から教えられた。確かに海洋資源や森林資源を除けば、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料を海外に大きく依存している。ところが、京都大学名誉教授で立命館大学総合科学技術研究機構上席研究員の今中忠行氏が人工石油を開発したという。日本の将来に大きな影響を与える可能性がある。

 インターネットで製造方法を調べてみると、特殊な光触媒を用いて水から化学反応を起こしやすいラジカル水をつくり、そこに種油(石油、重油、灯油など)と二酸化炭素を混合する。すでにサステイナブルエネルギー開発株式会社(仙台市)が製造装置を作り、軽油なら1㍑当たりで14円製造できるという。現在販売されている軽油の10分の1程度と格安になる。水と二酸化炭素からつくるため、環境にやさしいカーボンニュートラルとなることも大きな特徴。資源がないといわれる日本で技術力によって生まれた人工石油といえるだろう。

 日高地方をみると、いろんな分野で課題や問題点が山積。観光では年間通じて大勢の参拝客が訪れる道成寺や日本のエーゲ海といわれる白崎海岸があるが、奈良や京都などと比べると観光資源は多いとはいえない。産業面でも企業進出が飛躍的に進んでいると言い難く、若者の働き場が十分確保されていないのが現状だろう。

 「必要なものがないから諦める」というのではなく、「ないのなら、あるものを使って生み出す」という考えが必要だ。「知は力なり」という。まさに地域を活性化させるのは、今ある資源に頼るのではなく、新しいものを生み出すことといえるだろう。(雄)