ホタルが舞う季節。日高川町玄子の川に取材に行った。
暗くなる前に到着し、カメラを設定してホタルが現れるのを待つ。日が暮れ辺りが暗くなり始めると川辺の草の中で光り始め、気が付けばたくさんのホタルがゆっくりと瞬きながら舞っている。川の流れる音だけが静かに聞こえ、幻想的で美しい光景に魅了される。夫婦らしき2人連れが何組か観賞に来ていて、写真を撮ったり、うっとりと眺めたりしていて、写真の撮れ高ばかり気にする私に比べ、「素敵な時間を過ごしているなぁ」とうらやましくなった。
同僚が「ホタルは飛び回っているのが雄で、葉の上などで止まっているのが雌」と教えてくれた。ゲンジボタルを撮影するときは、飛んだ軌跡がどれだけ美しく撮れるかが大切なのに、私が撮影した日は止まっている光が多く、少し肌寒かったせいかと思ったが、雌が多かったのかと納得。そのあと気になってゲンジボタルの生態について調べてみた。川辺にあるコケに6月ごろに産みつけられた卵がかえると幼虫は水中に住み、約10カ月間カワニナなど貝類を食べて脱皮を繰り返す。25㍉㍍程度に育つと川から陸に上がり土の中で40日ほど過ごして蛹になり、その後羽化して成虫となって地上に出てくる。成虫の寿命は1・2週間で、この間水しか口にせず美しい光を放って伴侶を見つけ、翌年生まれてくる卵を残して短い生涯を終える。
数十年前までは日高地方でもいたるところでホタルが生息していたが、護岸工事や川の増水などで生態系が崩れてしまい、保護すべき貴重な自然となってしまった。ただ生きて、種を守るため闇の中に放つ光は尊く、この光景をこの先もずっと見せてくれることを心から願っている。(陽)


