人気商品の「ごんちゃん」

 県が優れた県産品をブランド認定して推奨する「プレミア和歌山」の今年度推奨品92品目の中から、最も優れた産品に贈られる審査委員特別賞に、日高川町生活研究グループ美山支部の「ごんちゃん」が選ばれた。地元で採れた山菜のイタドリをオリジナルレシピで煮付けた、35年間愛され続けるロングセラー商品。15年前からは休耕田を活用して栽培にも取り組み、加工、販売の6次産業化を確立している。

 今年度は特別賞1点、奨励賞3点が選ばれ、9日に和歌山市のホテルアバローム紀の国で表彰式が行われた。

 ごんちゃんは、椿山ダムが完成したのに合わせ、ダム湖近くにできた産品所に出品しようと地元の女性グループが開発した。イタドリを商品化したのは県内初めてで、以来、毎年売り切れる人気ぶりとなっている。皮をはいで塩漬けし、独自の工夫で秘伝の味付けに仕上げた逸品。シャキシャキとした食感が特徴で、懐かしい味わいは「一度食べると忘れられない」と好評だ。近年はシカの食害等でイタドリが少なくなっており、15年前から休耕田を活用して自分たちで栽培を始めている。

 表彰式には美山支部から竿本千明会長らメンバーが出席し、代表してイタドリ部会の竿本みき代部会長が残間里江子審査委員長から賞状と盾を受け取った。岸本周平知事は「プレミア和歌山を取ることが生産者の励みにもなっている。この取り組みは15年続いてきたが、県民が笑顔になる制度へさらに進化させていきたい」とあいさつ。残間委員長は「安全安心やSDGsなどはもちろん、誰がどんな思いで作り上げているのかの物語性が重要。受賞の産品には思いがあふれている」とたたえた。受賞者を代表して竿本部会長は「先輩方が35年前に開発していただき、感謝の気持ちでいっぱい。シャキシャキした食感と心に残る味が特徴です。これから収穫時期で、皮をはぐのが最も大変な作業ですが、地域の食文化を守っていけるよう、61歳から85歳までのメンバーがスクラムを組んで笑顔で頑張っていきます」とあいさつした。

 試食会も開かれ、岸本知事は「歯ごたえがあって自然な味わい。ビールのおつまみにも最適ですね。夏の楽しみが一つ増えました」と笑顔いっぱいだった。