子どもの頃にかかる水ぼうそうと同じウイルスが原因となる、帯状疱疹(たいじょうほうしん)を予防するワクチン接種について、高齢者を対象に補助金を出す自治体が全国で増えている。80歳になるまでに3人に1人が発症するとされる神経痛を伴う病気で、日高地方ではみなべと印南町が新年度から補助制度を創設、ともに最大2万円を交付する。

 帯状疱疹は水痘(すいとう)や帯状疱疹ウイルスが原因で起きる皮膚湿疹。このウイルスに子どもの頃にかかると水ぼうそうとして発症し、1週間程度で治るが、ウイルスは神経に潜んでおり、加齢やストレス、過労、病気などによって免疫力が低下したときに再び活動。体の一部に神経痛が起き、赤い発疹が胸から背中、胸部などに帯状に広がり、強い痛みで日常生活に支障が出る場合もある。神経に傷が残ると帯状疱疹後神経痛と呼ばれ長期間にわたって痛みが消えないこともある。

 帯状疱疹の発症率は50歳以上になると増加するが、ワクチン接種で免疫を強化し、一定の予防効果が期待できるという。和歌山県内では田辺市が今年度から補助制度を導入しており、65歳と70歳を対象にワクチンの種類にかかわらず1人1回のみ4000円を助成している。

 みなべと印南町は補助内容が同じで、対象は50歳以上。1回で効果があるとされる生ワクチン(ビケン)を接種した場合、1回のみ4000円を助成。また、予防効果がさらに高いとされる不活化ワクチン(シングリックス)は2回接種する必要があるため、1回につき1万円、2回で計2万円を助成。高額なワクチン費の自己負担が半分で済むよう設定している。

 みなべ町は新年度予算に補助費114万円を計上、印南町も近く詳細を発表。いずれも当初議会で承認を求める。ほかの日高地方5市町はいまのところ導入予定はなし。ワクチン接種は一般の医療機関の皮膚科や内科で行われている。