一般社団法人日本介護支援専門員協会などの第21回近畿ブロック研究大会inわかやまが17・18日、みなべ町のホテル&リゾーツ和歌山みなべで開かれ、近畿圏内の介護支援専門員や福祉・保健、医療、行政関係者ら約330人が参加した。

 「みちびきの地 南紀熊野~出逢い 寄り添い 人と未来をつむぐケアマネジメント~」をテーマに、多様なニーズに対応した高齢者の自立支援に向けた質の高いケアマネジメントについて研さんを深めようと、みなべ町では初開催となった。

 京都大学大学院人間・環境学研究科研究員の佐藤泰子氏は「妖怪人間ベムは永遠に笑わない、忠犬ハチ公は永遠に待ち続ける」と題して講演。病気や体の障害で苦しみを持つ人に対して寄り添うことの意味、大切さを話し、苦悩を持った人は「(人に)話して、(自分から)離して、放す」こと、つまり苦悩を言葉で出し切らないと答えが出ないとし、時間がかかるが援助者はただ待つしかなく、「聞くことが大いなる支えになる」と強調した。

 ハチ公が上野博士の死後も渋谷駅で待ち続けた理由については、ハチ公が上野先生との「間(あわい)=二つのものの関係、空間」に生きていたからだと説明。「生きるとはだれかといる、たったそれだけのことかもしれない。人が亡くなれば『もっとこうしてあげればよかった』『自分の介助が悪かったのか』などと後悔や痛みが伴うが、やがて『その人が逆に私を世話してくれていたのだ』と感謝の気持ちに変わるようになる。いまの苦しみが将来の幸せにつながる」などと、援助や介護する側の気持ちのあり方について話した。