
2月のテーマは「梅」。万葉の時代には「花」といえば桜ではなく梅のことを指していました。令和の語源ともなった「万葉集」のやさしい解説書をご紹介します。
「私の万葉集」(杉本苑子著、集英社文庫)
2017年に91歳で他界した著者は、大河ドラマの原作にもなった「冥府回廊」「マダム貞奴」、宮子姫が登場する「穢土荘厳」など膨大な歴史小説を残しています。本書は「万葉集」を独自の解釈で、初心者にも分かりやすくテーマ別に紹介。当県にゆかりの深い「和歌の浦潮満ち来れば片男波葦辺をさして田鶴鳴き渡る」、有間皇子が遺したといわれる「岩代の浜松が枝を引き結び真幸くあらばまた帰り見む」なども登場します。梅の和歌は「雪、月、雨、花と鳥の歌」の章で登場。
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「梅の花 降り覆ふ雪を 嚢(つつ)み持ち 君に見せむと 取れば消(け)につつ」
これは梅の花のうた…。白梅か、薄紅梅か、咲きさかっている花の上を、うっすらと降り覆う春の淡雪は、領巾(ひれ)に、あるいは掌に、受け、かばいつつ大いそぎで愛人に見せようとしても、はしから消えてしまうはかなさなのだ。
女の掌も、雪とまごうほど白く若く、薄べに色の血を透かせて美しかったにちがいない。作者は不明。繊細な、やさしさにあふれた歌である。


