VRアプリを開発した学生と体験する職員

 和歌山高専の学生が防災・防火啓発用のVR(仮想現実)アプリを開発し、24日、御坊市消防に寄贈、完成披露が行われた。消防からの依頼を受け、「初期消火」「濃煙」「火災避難」をテーマに約半年間をかけて、初期消火、煙、ショッピングモール火災、木造住宅火災をリアルに仮想体験できる4つのアプリを作成。今後、住民の防火防災指導に役立てられる。

 開発したのは専攻科メカトロニクス専攻2年の坂口文哉さん、山本泰雅さん、電気情報工学科5年の福本将太郎さん、金﨑太郎さん、樋口蒼さん。坂口さんが総括・技術指導を担当し、山本さんが技術指導とショッピングモール火災、福本さんが木造住宅、金﨑さんが初期消火、樋口さんが煙の各シミュレーション開発を行った。

 VRによる炎や煙の臨場感ある訓練は、場所や天候の影響を受けずに実施でき、視覚的効果で体験した人の防火意識が一層向上するのではないかと昨年6月、市消防からVRアプリの開発について相談、説明。7月に同市と同校の包括連携に関する協定書に基づいて開発を依頼し、坂口さんと山本さんが研究として取り掛かった。消防から火災についての資料を提供、訓練用消火器を貸し出し、10月から電気情報工学科の3人を加えてチームで作成。この日、5人が北風幸一校長や指導教員で電気情報工学科の謝猛春教授らとともに市消防を訪れ、坂口秀紀消防長から感謝状を受けた。

 坂口さんは「目新しくて挑戦のしがいがあり、地元の消防と協力して世の中のために自分たちの力を生かせたのはとてもいい経験になりました。先生方のご指導や消防の方々の協力、同じ研究室の友人の支えがあったおかげ」とあいさつ。坂口消防長は「消防では防火指導を通じて災害が発生した場合には状況を的確に判断し、落ち着いて適切な行動が取れるよう指導していますが、言葉だけでは伝わりにくかったところがあります。このアプリを活用することで実体験が難しい災害をリアルに体験でき、災害時の対応力の向上に加えて防火・防災への関心を高めることも期待できます。大いに役立てさせていただきます」と感謝を述べ、その後、実際に職員が体験した。