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今月のテーマは、今年のえと「ウサギ」。いろんな動物の姿を文学者の目で描写した、フランス文学をご紹介します。
「博物誌」(ジュール・ルナール著、岸田国士訳、新潮文庫)
母親に愛されない孤独な赤毛の少年を描いた、自伝的小説といわれる「にんじん」が有名な著者。2番目に有名なのがこの「博物誌」です。「蝶…二つ折りの恋文が、花の番地を探している」などしゃれた警句も多い本書。散文的にさまざまな動物を丹念に描写する項目も多く、ウサギは食欲旺盛な様子が描かれます。
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半分に切った酒樽の中で、ルノワアルとルグリは、毛皮で温かく足をくるんだまま、牝牛のように食う。(略)
ちょうどいま、一株のサラダ菜が彼らの眼の前へ落ちてくる。ルノワアルとルグリは、一緒に早速食い始める。
鼻と鼻を突き合わせ、一生懸命食いながら、頭を振り振り、耳に駆け足をさせる。
とうとう葉が一枚だけになってしまうと、彼らはめいめいその一方の端をくわえて、競争で食い始める。
彼らは、笑ってこそいないが、どうやらふざけ合っているように見え、葉っぱをすっかり食ってしまうと、兄弟の愛撫で唇をよせ合うように見えるかもしれない。


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