五島さん

 南紀短歌連盟主催、第39回南紀短歌大会が9日、田辺市民総合センターで開催。日高地方から五島勉さん(96)=印南町古井=が上位4番目の文化協会長を受賞した。

 事前に120首の短歌が寄せられ、当日は43人が出席した。佐佐木頼綱、井谷まさみち、源陽子の3氏が選者を務め、それぞれ特選・入選を選出。特選の中から優秀作品に上位4賞が贈られた。互選高得点の作品は南紀短歌連盟賞。五島さんの作品「定年もなき終身を農に生く野良着に土の匂う倖せ」は佐佐木氏の特選に選ばれ、文化協会長賞を受けた。五島さんは長年ハウス農家を営んでおり、作品には定年に関係なくいくつになっても続けられる農業への想いを表した。短歌歴は約50年。所属する印南短歌クラブの月1回の勉強会でその腕を高めており、自らアイデアを考えることが元気の源になるという。今回の受賞には「まさか自分が選ばれるとは。これを励みにこれからも日々頑張ります」と話している。

 そのほか日高地方の特選・入選・連盟賞は次の皆さん。
 源氏特選=山野苺(日高町)「春雷にめざめて気づく君のうそ『もうだめかもね』は私のうそ」▽井谷氏特選=久保井千代(印南町)「新築の祝に訪へば甥夫婦『ローン地獄』と凛凛しき笑顔」▽佐佐木氏入選=田端弘(美浜町)「突然の雷雨のあとの静けさに秋気漂ふ夕光のさす」▽井谷氏入選=小山和代(御坊市)「からからと枯れ葉一枚に追い越されあららあららと足を速める」▽源氏入選・連盟賞=米倉眞佐美(日高町)「瑠璃色の皿が目を惹く棚の中うちに来るなら菜花を盛ろう」▽連盟賞=森本知美(御坊市)「ありがとう礼言うて捨つこの靴でよろこびステップ踏みし日もあり」、山本範子(御坊市)「長旅のアサギマダラが藤袴に命つなげり風にまかせて」