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1月のテーマは今年のえと「ウサギ」とします。誰もが知っている昔話から、ウサギの象徴的意味を考察するユニークな研究本をご紹介します。
「古事記の暗号」(藤村由加著、新潮文庫)
「人麻呂の暗号」がベストセラーになった著者。本書では「いなばのしろうさぎ」の章でウサギについて考察しています。
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絵本か何かで読んだ感じでは、私は「いなばのしろうさぎ」の兔に、どことなくか弱いというイメージを抱いていた。でも今あらためて原文を読んでみると、なかなかどうしてかなり逞しい。目的に行くためなら、インチキとも思える交渉だってするし、鮫の背を渡るという危険だって冒す。(略)日本古来の兔のイメージといえば、揺るぎないのが「月の兔」である。アポロが月面着陸したぐらいでは、満月の中で餅をついている兔の姿を消すことはできなかった。そんなやわな伝承ではないのだ。(略)月に兎が住んでいるということは、紀元前からすでに伝説となっていた。中国では兎は月で不老不死の薬草をこしらえていると信じられていた。それも欠けてはまた満ちる月に驚異的な再生力を見ていたからだろう。それが日本に来たときに、餅つきに変わったのは、望月という満月を表す言葉にかけたからだろう。


