反撃能力の保有を明記した国家安全保障戦略など、新しい安全保障関連3文書が閣議決定された。中国、ロシア、北朝鮮の3正面の脅威に対抗、国民の生命と財産、領土を守るいわば国家としての決意である。


 国民を守るには敵の動きに対して素早い反応が必要だが、現状のミサイル防衛では防ぎきれない。わが国への攻撃の意思が明確で、その兆候が確認された時点で地対地ミサイル、空対地ミサイル等で敵の攻撃拠点をたたく。


 目標はミサイルの発射基地に限らず、攻撃指揮機能を持つ司令部、発射装置が陸上を移動するならそのルートも標的とする。従来の考えを改め、日本は米国と同じ矛の役割を担い、つまりはともに飛び出して殴りにいく。


 おととし6月、陸上イージスの配備断念を機に反撃能力保有の議論が高まり、今年2月のロシアのウクライナ侵攻で防衛力強化の必要性に目覚めたか。戦争をしないため、敵に日本への攻撃を諦めさせる抑止力として、ようやく刀の鯉口を切ってみせた。


 ウクライナ危機を受け、岸田首相は防衛費をNATO基準のGDP比2%程度まで引き上げる考えを示した。安倍元首相が世界に中国の脅威とその危険性を訴え、連携を呼びかけた自由で開かれたインド・太平洋構想に西側各国が軸足を移しつつあるなか、反撃能力の保有、防衛費2%は最低限の当たり前の話であろう。


 中国は尖閣諸島周辺において、巧妙で執拗なサラミ戦術で現状変更を仕掛け、日本はこれに冷静に対処し続けている。もちろん、外交努力は必要だが、その背景に圧倒的な防衛力がなければ話は対等に進まない。そのためには強い経済が不可欠で、いまここで増税で景気を冷やしてはならない。(静)