取得した空き家の前で堀井さん㊧と池田さん

 空き家の所有者と利用希望者をマッチングする由良町の「空き家バンク」は3年目の今年度、制度開始後初めて契約が成立し、さらに売買・賃貸の成約件数が伸びている。増える空き家の活用や住まい不足の解消、移住定住の促進に向けた取り組みで、今年度から空き家改修支援補助金交付制度もスタート。利用希望者の問い合わせも増えるなか、町はバンクへの空き家の登録を呼びかけている。

 由良町の空き家バンク制度は2020年にスタート。20年度、21年度とも成約はなかったが、今年4月に大引の空き家で初めて結ばれて以降、これまで7件、いずれも売買契約が成立している。

 初めて契約が結ばれた大引の空き家は築60年以上の木造平屋。2年ほど前まで中西八惠子さん(89)が住んでいた。中西さんが近くに移り、中西さんの子ども3人も町外に住んでいたため、「誰かに住んでほしい」と、空き家バンクに登録。昨年、就農に向けて大阪から御坊市に移り、賃貸住宅で暮らしていた堀井泰紀さん(56)が取得した。

 町の補助制度を活用し、トイレや風呂を改修、床を張り替え、8月に引っ越し。堀井さんは「何より景色が一番です。一人暮らしで大きさも値段もぴったりで、引っ越しもスムーズでした。いい物件を用意してもらって感謝しかありません」と話し、中西さんの次女池田福美さん(57)=和歌山市=も「空き家の維持は大変。ありがたいです」と笑顔を見せていた。

 12日現在、成約件数の増加もあり、町の空き家バンク登録は5軒だけ。町内の空き家は今年の実態調査で477軒となっている。