日高川町の久留米啓史町長は21日、大阪市の関西電力本社を訪問し、同社が取り壊しの方針を示している築100年を超える旧高津尾発電所の保存を求める要望書を提出した。

 旧高津尾発電所の赤れんが建屋は、大正時代から地域のシンボルとして親しまれてきたが、関西電力は、老朽化や耐震性等を考慮し、来年度中に取り壊す方針を示していた。これを受け、地元高津尾の6区長や県建築士会日高支部、町文化協会から関西電力に対し保存や活用を求める要望書が提出されており、町は自民党の二階俊博元幹事長らに取り壊しの見直し、保存のための助言や指導を要望していた。

 この日は、久留米町長、小早川幸信副町長、地元地域代表として駒場敏男さんらが同社を訪問。森望社長宛ての要望書を多田隆司常務に提出し、建物の保存活用を強く求めた。

 多田常務は「当社の調査で南海トラフ地震に耐えられないと判断し、除去する方針としましたが、皆さんに強い要望をいただいたので、今後は当社が一方的なペースで進めるのではなく、関係者の皆さんと相談しながら進めたい」と話し、建物の保存や活用については耐震補強等の課題が残るものの「来年度中に取り壊すことはありません」と計画を保留にした。