今月5日は津波防災の日だった。全国各地で避難訓練が行われ、日高地方でも各自治体で避難や炊き出しなどの訓練が実施された。御坊市では先月31日に梅の郷紀州救助隊の尾﨑剛通隊長(73)が社会福祉協議会主催のボランティアセンター運営研修会で講演。6日には自主防災組織連絡協議会の研修会で宮城県仙台市宮城野区福住町町内会長で災害語り部の菅原康男さん(75)が講演した。
いずれも取材で聴講したが、2人とも共通した部分があったのが印象的だった。それは「まずは自分の命を守ることが大切で、そうでなければ他人を助けることはできない」と強調したうえで、「災害の時は非常事態。マニュアル通りに行動するのではなく、臨機応変に行動することが大切」と訴えていた。災害現場を経験した人たちだからこそ、同じ考えになるのだろう。
行政などで災害時の避難路の整備、災害用名簿の作成などの取り組みを進めている。しかし、想像を絶する大規模な震災が発生し、大津波が押し寄せてくれば、それらは役に立たない可能性もあり、予期しないトラブルが発生するかもしれない。そして、想定通りとならなかった時、どう行動するのかが重要。訓練で高台にただ避難するだけでも「いざという時にこんな風に行動できるのか」「非常食は準備していたか」などと考える。そうした訓練の積み重ねが命に直結する防災力を高めることにつながる。
南海トラフ地震の発生は確立は今後40年以内で90%といわれる。一命を取り止めることができるかどうかは、普段から災害に対して関心を持ち、非常時に対する対応能力の高めておく必要となる。(雄)