「皆ができることを頑張っている」とキツィラさん

 日高高校(山本直樹校長)は12日、国際理解教育講座を開き、ウクライナから由良町に移住したロクソリャーナ・キツィラさん(28)がウクライナの現状で講演。人々が雨音や雷の音にも怯えて暮らす現状を話し、「大切なのは自分の人生(命)。人さえいれば、ウクライナがなくなることはない」と祖国への思いを語った。

 キツィラさんは2月に始まったロシアの軍事侵攻について、攻撃を受けた各都市や世界最大の飛行機「ムリヤ」が破壊された様子を写真で紹介し、人々が雷などの大きな音にも怯える生活をしていることを紹介。今月10、11日の各都市へのミサイル攻撃では、母が住むウクライナ西部の都市リビウでも一日に6回程度爆発音がしたことを話し、母が撮影した動画で煙が上がる街の様子をスクリーンに映した。


 侵攻に際して、自身は祖母から過去のロシアの行いを聞いていたため戦争がいつか起こると考えていたが、多くの人にとっては信じられないことだったと説明し、また「ウクライナ人はロシア人になりたくない。でもロシア人はウクライナ人をロシア人だと思っている。だから戦争は続く」と指摘。さらに、侵攻が始まりウクライナ人の考え方が変わったとし、「皆ができることを頑張っている。誰かは戦いに行き、誰かは動物たちを安全な場所へ移している。そして何もできない人は自分を守る。人がいなければ国がなくなる。自分を守るウクライナ人がいる以上、ウクライナの国はなくならない」と、祖国への熱い思いを訴えた。


 生徒たちは熱心に聞き入り、1年生の玉置みうさんは「キツィラさんの話や攻撃を受けた街の写真を見て、とても心が痛みました。一刻も早く終わってほしいです」と話していた。


 キツィラさんは中学の頃から日本の伝統や文化に興味を持ち、現地で日本語を学んだ。旅行で訪れた日本人の男性と知り合い、昨年3月に結婚。8月から由良町で生活している。講演は今回が初めてとなる。