30歳の同僚社員が「チャゲ&飛鳥をまったく知らない」というので驚いていたところ、テレビ番組で「10代が知らない言葉」を紹介していた。番組で登場した言葉を挙げると「写メ」「ネットサーフィン」「クラッチ」「ワープロ」など◆筆者など、ネットにはつなげられなくても1台で執筆と記録と印刷までできたワープロを今でも販売してくれないかと切実に思っているのだが、そんな言葉は聞いたことがないという。写メどころか、LINEで事足りるから「メール」も知らない。他の番組では、LINEすら最近の高校生は使わなくなり、画像や動画に特化したインスタグラムに移っていると紹介された。もはや状況の変化についていくのは不可能だなと思いながら、その変化の意味を考えてみた◆スマホ画面においてさえ、「長い文章を読む」という習慣が若い世代を中心に薄れているのではと思える。パッと見た時に意味のとれる、感覚的といっていいぐらいの短さの文が求められる。スマホやパソコンの場合、視野に入れた時の目の負担が紙媒体より大きいことを考えると、身体的には無理もない自衛反応かもしれない。しかしそれに慣れると、頭の筋トレともいうべき「文を読む」という行為の量が上の世代に比べて著しく減り、先々表れる影響が危惧される。このような小さな変化に、文化全体の変化の予兆は端的に表れる◆世相の変化と同列に並べる問題ではないが、世界の歴史は今、非常に大きな分水嶺の上にある。歴史の行く末を見定めようとすれば、ミクロの視点とマクロの視点の両方が必要になる。事態の変化を詳細に見ると同時に、大きな流れを読まなければならない。(里)