
今年8月、沖縄県で行われた昭和の戦争犠牲者の遺骨収集活動に、県立医科大学から医学部の学生2人が参加した。米軍との激戦地となった糸満市の海岸にある自然洞窟(ガマ)の中で、追い込まれて集団自決したとみられる人たちの遺骨や遺留品を発見。先月29日には大学で記者発表を行い、法医学を学ぶ立場から貴重な体験を振り返った。
戦争末期の沖縄戦では、民間人も含めて約20万人が亡くなった。終戦から77年が過ぎたいまも、まだ3000人以上の遺骨が見つかっていないといわれている。県立医科大学生の遺骨収集活動は地元のボランティア団体からの依頼で、5年前から自主カリキュラムとして、法医学講座に所属する学生が参加している。
今回参加したのは4年生の安田啓喜さん(23)と2年生の小鮒亜裕美さん(25)。遺骨収集は8月10日、沖縄県糸満市の南端にある荒崎海岸で行われた。同海岸は沖縄戦末期、米軍に追い詰められた多くの兵士や住民が最期を遂げ、沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の教師・生徒で結成されたひめゆり学徒隊員が集団自決した場所としても知られている。沖縄弁で「ガマ」と呼ばれる自然洞窟がたくさんあり、そこにはまだ身元が分かっていない人たちの遺骨が多数残されているという。
安田さんは実際に14~16歳と思われる人の上腕骨、成人の大腿骨、胎児の長管骨を発見した。遺骨の写真をプロジェクターで見せながら、DNA鑑定や司法解剖など犯罪捜査にも応用される法医学の観点から、骨の大きさや特徴で年齢層が分かることなどを説明。また、ガマに残された遺留品も見つかり、骨との関連性、遺族を特定する手がかりになる可能性があることを報告した。
安田さんは「骨も死者の一部として扱うことは、医者としての責務だと感じました。骨の情報から分かることもたくさんあり、法医学を学ぶ者としてこの経験を今後に生かしていきたい」、小鮒さんば「遺骨を調べることはその人への最後の医療行為になります。現地の状況をこの目で見ながら遺骨を調べられたのはとてもいい勉強になりました」と活動を振り返った。
法医学講座の近藤稔和教授(54)は「遺骨鑑定を通して、戦禍で亡くなった人の情報を生きている人に伝えていくことは個人の尊厳を守ることにもつながる。この経験で医者として、人として学ぶものを見つけてくれれば」と話していた。


