御坊市藤田町藤井、グラフィックデザイナーの池口肇さん(78)は第35回全国和紙画展で4度目の入選を決めた。岐阜県美濃和紙の里で開かれるレベルの高い大会。全国から146点の作品が寄せられ、池口さんは切り絵作品「梅の宙(おおぞら)」で入選した。作品は10月13日から12月19日まで、美濃和紙の里会館で展示される。

 池口さんは25歳の時、「ワ」をモチーフにしたデザインが和歌山県の県章に採用されたのを皮切りに、シンボルマークなどのデザインで多くの賞を受けた。切り絵は11年前から独学で始め、国民文化祭やまなし国際切り絵コンクールでは世界4番目となる賞を受賞するなど実績を挙げている。

 今回の受賞作品「梅の宙」は近所の梅の大木をモチーフに、宇宙のイメージと合わせてデザイン。大きく枝を張り出した梅の大樹が白い花をいっぱいに咲かせ、その向こうには美しい三日月を中心に宇宙空間が広がる構図。下絵から約40日かけて制作した。黒い和紙を下絵に合わせて切り抜き、大きさ1㍉ほどの切り口を無数につくっていく緻密な作業で、集中力と高度な技術力が求められる。

 池口さんは「天空に覆いかぶさる空間のイメージと、夜の宙(おおぞら)に見た梅の大樹の印象を切り上げました。4度目の入選にはうれしい驚きでいっぱいです。切り絵は、ごく細い線の部分も切り離されることなく、すべて一つなぎになっています。これからも、1㍉でつながった一枚の絵の魅力を創り上げられるよう、挑戦していければと思っています」と話している。