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秋はお月見の季節、9月のテーマは「月」とします。
「月光ゲーム」(有栖川有栖著、創元推理文庫)
本格ミステリの分野で長年頑張っている著者。本書はデビュー作で、大学の推理部の学生たちのグループが、火山の噴火によって陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められ、極限状況の中で連続殺人事件が起こるという、本格ミステリの王道的な作品。
月に関するうんちくがいろいろ登場するのが読みどころの一つとなっています。
* * *
「一、二、三」の掛け声で後方でも明かりが消え、闇のカーニバルが始まった。
「真っ暗ではないんやね」彼女は空を仰いで話しているらしかった。「ほら、木の葉の間を通して月の光が少し見える」
見上げると確かに。形のあるものはそこにもなかったが、それはいくらか明るい闇であった。
「木洩れ月」
僕がぽつりと言うと理代は、
「きれいな言葉やわ。木洩れ日でなしに木洩れ月ね。さっきアリスの言った月光浴もそうやけど、日を月に代えたら素敵な言葉になるね。…月時計…月射病」
「月光写真、月光消毒」
「月出る処なぁんて」
「僕らも月人派に入ろうか」
闇の中で二人の目が合っているのがはっきりと判った。


