ディジュリドゥを見せながら語る東さん

 美浜町和田のNPO法人ヴィダ・リブレ(宮西照夫理事長)の第1回ひきこもりサポートステーション事業研修会が29日、美浜町地域福祉センターで開かれ、約50人がひきこもり支援について学んだ。

 冒頭で宮西理事長がヴィダ・リブレ設立の経緯について話し、和大で30年にわたりひきこもり支援を続けてきたこと、2002年につくった「ひきこもり回復支援プログラム」が国のモデルプランになったこと、15年から「居場所」としてヴィダ・リブレを立ち上げ、17年にNPO法人となったことなどを説明。「火曜から土曜にオープンしています」と話した。

 続いて、臨床心理士の東法子さんが「先住民の暮らしに学ぶ―外的適応と内的適応」をテーマに基調講演。オーストラリアの先住民の木管楽器で「世界最古の楽器」といわれるディジュリドゥとの出会いからオーストラリアを4回にわたって訪ね、現地の先住民との暮らしの中から臨床心理士として多くを学んだことを話した。「ディジュリドゥはシロアリが巣食ったユーカリの木からできており、一つとして同じものはない。人間も同じ」とし、「解離した2者の橋渡しには一方的でなく双方向的なコミュニケーションが必要。支援者側の社会に適応させることだけが支援ではない。要支援者が主体性を損なわず、常に両者が交流する先に道はあるのでは」と話した。

 後半は「ひきこもり支援の第一歩~いかに支援につなげるか~」をテーマにシンポジウムを行い、精神保健福祉士の中家嘉章さん、美浜町役場保健師の山下恵子さん、教員で当事者家族の森本政代さん、サポーターで当事者の日下陽太さんがシンポジストとして意見発表。山下さんは役場担当者としての立場から「相談はとても勇気のいること。信頼関係を築き、少しでもほっとして帰ってもらえるよう心がけている。おととしからひきこもりサポート事業としてヴィダ・リブレに委託。相談機関があることを多くの人に知ってもらいたい」など話した。