ポスターで啓発する署員

 県と県警は、わかやま夏の交通安全運動(11~20日)に合わせて、信号のない横断歩道での「サイン+(プラス)サンクス運動」を始めた。渡る際、手を上げる(サイン)などして通行車両に明確に意思表示し、停止した運転手に「ありがとう」(サンクス)の気持ちを会釈などで伝えることで、ドライバーに横断歩行者保護の意識を向上させ、横断歩行者事故を抑止することが目的。御坊署は御坊市内の小学校全6校を推進校に指定し、運動を広めていく。

 日本自動車連盟(JAF)の2021年全国調査で、信号のない横断歩道を渡ろうとしている人がいる状況で車が停止する割合は県内18・4%。全国平均の30・6%を大きく下回り、全国ワースト5位だったという事態を受けて、歩行者優先意識の浸透へ同運動を発案、スタートさせた。

 県によると、歩行者は会釈などで「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えるため、横断歩道を渡る前に運転者とアイコンタクトする習慣が身に付き、安全確認を図ることが可能。横断歩道の手前で一時停止する義務がある運転者は感謝の意を伝えられることで、止まってよかったという心地よさから、次も止まろうという意識の継続性につながり、また、子どもたちは横断歩道の手前で止まってくれたという経験を重ねることで、自身が運転者となった際に横断歩道における歩行者優先の意識が根付く効果に期待されている。

 今年6月の県調査結果によると、信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況は、手を上げない場合の5%に対し、手を上げた場合は85%と17倍。通学で横断歩道を利用する機会の多い小学生から発信してもらおうと、県内の警察署ごとに推進校を指定し、それぞれの地域に運動が広がるよう力を入れている。

 御坊署交通課の大石貴俊課長は「ドライバーの皆さんに歩行者優先の交通安全意識を高めてもらって事故をなくしていきたい。信号のない横断歩道が近づけばすぐに止まれる速度で、渡ろうとする人がいれば歩行者優先を徹底。歩行者も車が止まって、安全を確認してから渡るようにしてください」と話している。