御坊市内の書店員さんがオススメ本を紹介してくれるコーナー、今週は炭家書店の40代女性店員Nさんです。

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 るりかちゃん(縁も所縁もないが、つい、こう呼んでしまう)の作品は、可愛い。

 今や外国人にも伝わる「kawaii」だが、彼女のそれは、リカちゃん人形やキティちゃんとは、ちょっと違う。盗み喰いがバレた時の飼い猫犬の顔というか、稲を刈りとった後、再度のびてくる柔らかな青い葉というか。つまり「たくましさ」があるのです。

 本作では、主人公があこがれている「お兄ちゃん(職業、高校教師。冒頭で警察に連行)」への想いが綴られ、想い故の勇敢(?)な行動の顛末が描かれている。

 が、いわゆる「可愛い妹萌え」を期待してはいけない。そういう作品ではない。しかし、私は「萌え」た。主人公の一生懸命な想いに萌えた。

 これを「純な想い」と呼ぶか、「しょーもなっ」と笑うか。ぜひ読んで感じてみてください。