10日投開票が行われた参議院議員選挙の和歌山選挙区は、自民党現職の鶴保庸介さんが圧勝。24年間の経験と実績を武器に県内市町村長や議会議員らの支援や各種団体・企業200件の推薦などもあれば当然と言えば当然の結果である。一方、投票率は52・42%で、やはり当初からの1強の予想や近年の政治への不信感などもあって伸び悩み、通常選挙で過去3番目に低い数値。3年前の前回選挙から2㌽だけでもアップしたのは、民主主義の根幹をなす選挙期間の演説中に亡くなった安倍前首相に対する敬意と追悼、犯人への怒りの表れかもしれない。

 また、今回は和歌山選挙区が1区制になって過去最多の5人が出馬したにもかかわらず、この投票率にとどまったことは無関心層などの票の掘り起こしにつながっていない証であり、野党側も、もっとしっかり頑張らなければならないと言えるだろう。そんな中、県内での比例の党別得票率を見ると、1位は自民党の36・06%、次いで日本維新の会18・25%、公明党15・84%。維新の会は和歌山での候補者がいなかったにもかかわらずこの得票率で、一定の支持がある。昨年秋の衆院選では2区で維新候補が出馬しており、今後も国政選挙で独自候補の擁立が進むかもしれず、それはそれで政治に関心が高まり、選択肢が増えるのであれば歓迎すべきことである。

 いずれにしても鶴保さんは今回で5期目。参院ではベテランの一人であり、全国1位の得票率は国での強い発言力につながるはず。一層、国や地方のために活躍を期待するとともに、また選挙以外でも和歌山に帰って来て、県民の声を聞く機会や国政報告の場をつくっていただきたい。(吉)