安倍元首相の突然の訃報に、県内でも大きな衝撃が走り、県民からは深い悲しみ、卑劣な犯行への怒りの声などが上がった。

 自民党幹事長として安倍政権を支え、党総裁の3選を主導した二階俊博衆議院議員は「まさに言葉もない心境。歴史に残る宰相として日本国のかじ取りを担っていただいたことに感謝と敬意を表したい。民主主義の根幹である選挙の最中の事件は言論を謀殺する行為であり、決して許されるものではない」。

 安倍氏の側近として内閣官房副長官や経済産業大臣を務めた世耕弘成党参議院幹事長は、「大変な業績を残した。私にとっては、兄であり師匠であり、本当に長い間ご指導いただいた方。苦しい難局を一緒に乗り切った思い出もたくさんあり、心からご冥福をお祈りいたしたい。暴力に屈しないためにも選挙運動は続けるべきだ」。2015年5月に来県した際に観光や紀伊半島大水害復旧について説明し、大いに勇気づけられたという仁坂吉伸知事は「犯人に対して強い怒りを覚える。日本の治安を根底から揺るがす極めて卑劣で凶悪な犯行であり決して許すことはできない」とした。

 以下、日高地方の住民の声。

 「家族から安倍さんが撃たれたと聞いて、信じられませんでした。初め、散弾銃と報道されていましたが、そんなものを持っている人ってどんな人なのか、日本に普通にいるのかと不安になりました。安倍さんと言えば、リオ・オリンピック時のマリオが印象深いです。驚きと恐怖でしかないです」(御坊市の20歳女子学生)。

 「まさか日本でこんな事件が起こってしまうなんて。驚きましたし、銃を使われたのも本当に怖い。いつ何が起こるか分からない時代になってしまったんでしょうか。在任中は、いいことも良くないこともいろいろありましたが、今となっては頑張ってくれていたと思います。こんな形で亡くなるなんて、早過ぎます」(みなべ町の44歳主婦)。

 「選挙などの際に自民党のお手伝いをさせてもらっていまして、何度かお会いしてお話させていただく機会もありました。ずっと以前、お父様(晋太郎氏)が応援でこちらへ来られたとき、必勝のハチマキに『安倍』というサインをいただき、10年ほど前、その同じハチマキに晋三さんにサインをお願いすると、にっこり笑って書いてくださいました。まさかこんなことになるとは…まだ信じられません」(日高町の60代の主婦)。

 「テレビの画面で見ているところでは、平和を願ういい人という印象を持っていたので、こんなことになってとても残念です。ニュースを見ていて涙が出てきました。一番安全なはずの日本で、それも東京ではなく地方でこんなことが起こるなんて、もう何が起こっても不思議はないですね。世も末だと思います」(日高川町の76歳女性)。