最近、SDGsという言葉を見たり聞いたりしない日はない。持続可能な開発目標と訳され、2015年の国連総会で採択された。貧困、飢饉、男女平等など17の目標が掲げられている。高校入試の問題にも出題されるほど、注目度の高い取り組みだ。SDGsをテーマにした催しの取材も増えてきた。それだけ世間に浸透しつつある。漠然としていて、恥ずかしながら何をどうしたらSDGsになるのか、勉強不足の筆者はいまいちピンときていなかったが、先日、読売新聞の特集ページを見てなんだか胸が熱くなった。

 アフリカ南部のザンビアで貧困や飢饉に苦しむ子どもたちに農作物を送りたいと、新潟県佐渡総合高校の生徒たちがアフリカの風土に合うよう開発された「ネリカ米」を栽培し、JICA職員を通じて現地の孤児院に届けたという記事。きっかけは、JICA海外研修でザンビアに2週間滞在した同校教諭が、路上で生活するストリートチルドレンの厳しい現実を知り、生徒に知ってもらいたいと伝えたことだった。自分たちにできることは何か、考えた生徒たちが出した答えが、ネリカ米栽培だった。

 17の目標のうちの2番「飢饉をゼロに」に通じる活動だ。目標だけを一見しても、どうすればいいのだろうかと戸惑いがちだが、同校の取り組みを知って、遠い国のことでも自分たちにできることがあるんだと思い知らされた。栽培といっても簡単ではない。現地の子どもたちのことを思ったからこそ実現できたこと。一度も会ったことのない遠い国の子どもたちに思いをはせる、そのことこそがSDGsのスタートライン。視野を広げ、今世の中で何が起こっているのか、知ることからだと痛感した。(片)