三谷幸喜の大河らしからぬ脚本の効果もあってか、これまでNHK大河ドラマを見る習慣のなかった人まで毎週日曜夜にテレビの前に座らせる「鎌倉殿の13人」。戦国や幕末等に比べるとマイナーな中世が舞台で、歴史好きとかいいながら実は戦国武将と幕末の志士が好きなだけのミーハーな私も、鎌倉時代については源氏が3代で滅びるまでの大まかなことしか知りません。


 どうなるか全く分からずに見ているのも面白いのですが、やっぱりこの機会に中世の流れをきちんと頭に入れたいなと思い、鎌倉幕府の記録「吾妻鏡」を分かりやすくイラスト入りで解説している本書を手に取ってみました。


 内容 鎌倉幕府の始まりの年については、昔は1192年、今は1185年といわれるそうですが、ともかくおよそ150年にわたる鎌倉時代を全5章に分けて解説しています。


 各章の内容は、①御曹司、起つ! こうして「武家の時代」の幕は開かれた②「北条家の野望」に迫る③どうして「源氏将軍家」は三代で滅びてしまったのか?④まさに伏魔殿!京の都に渦巻く陰謀⑤「鎌倉殿」を支えた13人。必ずしも時系列というわけではないのですが、ドラマの進行でいうと、今は②の途中でしょうか。


 これからいよいよ2代将軍頼家、その弟である3代将軍実朝を巡る悲劇が繰り広げられるわけですが、その黒幕が実は…など、ネタバレなしにドラマを楽しみたいなら読まない方がいいかもしれません。もっとも、三谷さんがどの説を採用してドラマを組み立てるか分かりませんので(泰時の母となった八重さんのオリジナリティあふれる扱いも興味深かったし)、一通り知っておいてから検証していくのも面白いかも。


 これから、あの人もこの人もという感じでみんなバッタバッタとやられていきますが、本書はネタバレOKの人には格好の指南書。人物の関係性などがよく分かります。(里)