天井画のある2階ホールに展示された鏡のアート(左側)

 世界中にある城の匠の技術を結集させた「夢の城」と呼ばれる白浜町のホテル川久で30日まで、建築と現代アートを融合させた展示会「KAWAKYU ART Exhibition」が開かれている。

 「作り手の力を最大限に発揮する場所」として、芸術家を招いて作品を制作するアーティスト・イン・レジデンス(AIR)の取り組みの一環。アーティストは国内から募ったところ60人の申し込みがあり、その中から展示会のテーマ「実在する夢」に合致した若手、中堅のアーティスト6人を選考。先月9日からホテル側がホテルでの宿泊や食事を無償提供し、会議室などをアトリエにして作品を制作してもらっていた。今回の展示会が初めての発表の場となる。

 ホテル内のホールや廊下、客室の一部などが展示場所となっており、絵画やオブジェ、映像作品など7点を展示。イタリアの画家ジョルジオ・チェリベルティの天井画が描かれた2階ホールでは、神戸市の美術家稲垣智子さんが八つ折りの鏡にホテルの従業員らを撮影した映像を特殊な方法で投影。「天井画が描かれたのはバブル期。人口も経済も縮小していく現在の日本とは異なる時代。私の作品を過去と現在をつなぐ、夢と現実をつなぐパイプにしたいと考えました」と話していた。展示会ではAIRの芸術家以外の招待作品4点、紀南アートウイークの1点も飾られている。

 初日の今月1日は出展アーティストの紹介を兼ねた会見が行われ、総合プロデューサーの陳暁夏代さん(32)は「川久自体が一つの芸術作品ですが、その建築とアーティストとのシナジーを体験してもらえれば。来年以降も展示会を続けたいと思います」と説明した。

 入館料は一般1000円、高校生・大学生800円。中学生以下や白浜町民は無料。
 問い合わせは川久ミュージアム℡0739-42-2662。