夏の参院選がにわかに熱を帯びてきている。注目は東京選挙区(改選定数6)で、現職では立憲民主党の蓮舫さんや自民、公明、共産の各候補、新人ではれいわ新選組代表の山本太郎さん、アイドルの元おニャン子クラブで自民党の生稲晃子さんら。さらに「五体不満足」が600万部を超すベストセラーとなった乙武洋匡さんも先月19日、無所属での出馬を表明した。

 いずれもメディアの露出が多く、知名度は抜群。個人的には子どもの頃よく見ていた「天才・たけしの元気が出るテレビ」のダンス甲子園に出場していた奇抜な格好の山本太郎さんがなじみ深い。あの時は競泳水着をはいて奇妙なダンスを披露。政治家になっても喪服での国会参加や、天皇陛下に手紙を手渡すなど破天荒ぶりは健在だ。

 東京での熱気に呼応するかのように、先月27日の和歌山選挙区(改選定数1)立候補予定者説明会にも現職、新人合わせ7陣営が出席。こちらもまれにみる混戦が予想される。参院選は政権選択選挙ではないが、こういった背景には何があるのか。コロナ禍での食事会、国会での虚偽発言、選挙違反など、与党政治に対する不信感が根強い面もあるが、実は民間会社の調査でコロナ終息の兆しが見えつつある中、若者の政治への期待度が8年ぶりに回復したとのデータも出ている。度を越えたパフォーマンスやタレント議員の起用、党利党略での出馬など、疑問を感じる面もある。しかし、どんな形であれ選挙が盛り上がることは、政治に国民の目を向けさせるきっかけとなり、ひいては多くの国民が政治を考え、よりよい国づくりにつながっていくのだと期待したい。(吉)