マイクロチップを装着する犬(くまがい動物病院で)

 6月1日から改正動物愛護管理法が施行、ペットショップなどで販売する犬猫へのマイクロチップ装着が義務化される。6月以降に購入する犬猫には必ず装着され、飼い主の氏名や住所などの情報を登録。すでに飼っていたり、個人で譲り受けた犬猫については努力義務となる。

 マイクロチップは直径2㍉、長さ8~12㍉の円筒形の電子器具で、中には15桁の識別番号が割り当てられている。番号を専用のリーダーで読み取ると、飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報が分かる仕組み。GPSのようにリアルタイムで居場所を追跡できるものではない。

 装着は獣医師が行うことが求められ、注射器型の専用器具で肩甲骨あたりの皮下に埋め込まれる。一度埋め込めば、一生交換する必要はない。御坊市のくまがい動物病院では、8000円と別途診察料(費用は病院によって異なる)で装着を行っている。装着自体は民間登録団体などの制度で20年以上前から行われており、健康への影響の心配はない。ただ、2㍉以上の太い針が体内に入るので、中には嫌がってしまうペットも。場合によっては麻酔を打って装着することもあるという。

 チップがあれば、迷子になって保護された際、リーダーで情報を調べることで身元が分かる。県動物愛護センターによると、昨年の迷い犬の件数は121件、猫は261件の問い合わせがあった。今回の法改正で身元不明の犬猫が少なくなり、その結果、殺処分減少につながることも期待される。

 情報は民間登録団体で登録されているものも含め、環境省のデータベースに一元化される。登録は飼い主自ら手続きすることになり、日本獣医師会が運営する登録サイトで手続きをすると登録証明書が発行される。チップを基にデータベースを照会できるのは、読み取りリーダーが配備される警察や保健所になる。証明書を持っていくと番号で照会できるようになるが、登録の方法など、一連の手続きがスムーズに進む環境が完全に整うのはまだ先になりそうだ。

 チップの情報や登録の流れについては、御坊保健所(℡0738-22-3481)などに問い合わせればよい。飼い主には、装着する前にメリット・デメリットを確認し、大切なペットを守るために知識を備えておくことなどが求められる。