高齢者や子どもたちの居場所づくりという言葉を最近よく聞く。高齢者の場合は、住み慣れた地域の中で人とつながり、役割ややりがい、満足感などを感じながら生き生きとした暮らしができるように取り組まれている。子どもの場合は、家庭環境などにより、物理的に安心できたり、食事や学びの時間が持てたりするほか、同じ目標や趣味などに熱中できる環境整備などが行われている。このような取り組み以外でも、SNS上やオンラインゲームなど、自由を感じ、自分らしく過ごせたり、認められたりする世界が居場所となる場合もある。

 居場所がないと思うときは、孤独や虚無感を感じたときなどさまざま。子どもの生活は、家庭と学校がほぼ全てと言えるが、もしその中に自分の居場所が見いだせなかったら、世界のどこにも自分の居場所がないと感じてしまうかもしれない。逆に、家庭や学校以外に自分を認めてくれる居場所があれば、自信を持てるようになり、世界が広がって、居心地が悪かった場所にも変化が出てくるのではないかと思う。

 野球やサッカー、バレーボールなど、小学生のころからスポーツに打ち込む子も多く、そういった子たちには目標があり、仲間もいて、そこがしっかりとした居場所となりえる。しかし、スポーツが苦手や好きじゃない場合、仲間や目標をどこに求めればいいだろう。1つの選択肢として、日高川町を拠点にするダンスや芝居、音楽の表現グループ「あすなろ倶楽部・絆の星」を検討してはどうか。夏に予定している10周年公演に向け、出演者や裏方のメンバーを募集している。練習を取材したが、自分たちで考え、生き生きと舞台づくりに向き合っており、しっかりと自分の居場所を踏みしめていた。(陽)