黒竹で制作されたインスタレーション

 高級ファッションブランド品を扱う東京都銀座のフラッグシップショップ「グッチ並木」に、グッチを象徴するバンブー(竹)をテーマにしたインスタレーション(空間美術作品)が登場した。作品には日高町原谷産の黒竹が使用され、1階と2階をつなぐ高さ約10㍍の大作。原谷の有限会社金﨑竹材店の金﨑昭仁代表(63)は「黒竹の大きなPRにつながる」と期待している。展示は8月末まで。

 大阪の竹工芸職人で国際的に注目を集めるアーティスト・四代田辺竹雲斎氏が制作。金﨑代表は以前から四代田辺竹雲斎氏の父、三代田辺竹雲斎氏と黒竹の提供を通じて交流があった。

 作品はショップのオープン1周年を記念し、1階と2階をつなぐ螺旋(らせん)階段の空間に設置された。しめ縄のように重なり合いながら1つになって天井に広がっていくような形で、伝統を守りつつ現代的な要素を取り入れて進化するグッチの未来への歩みが表現されているという。長さ2㍍の竹ひご約1万2000本を使って仕上げられている。

 実際に上京して作品を見た金﨑代表は、「黒竹の良さを最大限に生かしてくれた。東京の銀座で世界の有名ブランド店に黒竹を使ったインスタレーションが設置され、黒竹の魅力を知ってもらう最高の場所だと思う」と話している。

 黒竹はツヤのある黒茶色が特徴で、日高町原谷が日本一の産地。これまでは庭園の素材や内装資材などに使われることが多かったが、四代目田辺竹雲斎氏が竹を使ったインスタレーションに3、4年前から取り組みを始め、フランス、イタリア、スイス、スペイン、アメリカなどの海外でも高い評価を受けている。