春眠暁を覚えず、寝坊は具合が悪いが、寝過ごしてしまうくらい心も体も心地いい春の日和が続く。こんな穏やかな日がずっと続いてほしいと、今は特にそう思う。テレビや新聞から連日報じられるウクライナの惨状に触れると、涙が出てくる。何の罪もない一般市民が巻き込まれ、いや標的にされて女性や子供も虐殺されていたとの報道に怒りがわく。一体どんな神経でそのような行動に及ぶのか。人としての心もなくしてしまう、それが戦争なのか。戦争を知らない世代、平和ぼけといわれても平和がいい。

 湾岸戦争や9・11アメリカ同時多発テロ以上に、身近な脅威に感じるのはなぜだろう。これまで他国の紛争や争いはどこか遠い所で起こっているとの思いの方が強かったが、ロシアの侵攻は今後、もっと悪い方にいくのではないか、そんな恐怖にかられるのは筆者だけではないだろう。今の時代にまさかそんなことしないだろうということが、今現実に起こっている。まさか他国が日本に戦争をしかけてくることはないだろう、そう言い切ることができないほど世界情勢は緊迫しているように思えてならない。

 これまで取材を通じて、太平洋戦争を経験した方々に体験談をたくさん聞かせてもらった。南方に送られた方は壮絶な飢えとも戦い「動くものは人以外何でも食べた」、シベリアで劣悪な環境で抑留された方は「毎日仲間が死んでいった」と戦争の悲惨さを教えてくれた。歴史は繰り返されるのか、いやそうならないために何をすべきなのか。簡単に答えが出る問題ではないし、何が正しい情報か判断するのも難しいが、とにかく自分のことのように関心を持つことからではないだろうか。

(片)